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「漢方」は天然成分だから副作用が少ない、は大きな間違い

古い歴史を持つ漢方薬。お客様の中には、漢方薬は長く飲み続けなければ効き目がない、その反面安全性が高い、などのイメージを持っている方も多いようです。そのイメージは事実でしょうか?漢方薬は専門家でもなかなか手を焼く分野ですが、正しい知識を持っておすすめしましょう。

間違ったイメージを抱きやすい漢方薬

「漢方は天然の生薬だから安全。副作用も少ない。」このような意見、1度は聞いたことがあるのではないでしょうか? 他にも作用がマイルド、などの意見がありますね。

これ、実はとても危険な考えなのです。確かに作用が緩和で副作用があまり見られないものもありますが、それは漢方薬だからではなく、たまたまその薬の効き目が緩和なだけ。漢方薬全体で考えると、それ以外の医薬品と比べて特別安全であったり、副作用が少なかったりなどということは全くありません。

また、天然の成分だから安全、ということもありません。たとえば、強い鎮痛効果を発揮するモルヒネ。麻薬としてはアヘンと呼ばれ、ケシから抽出される天然の成分です。しかし、人工的に合成した多くの成分よりも強い薬効と副作用を示します。

医薬品の安全性は、天然か人工かだけでは判断できないということですね。

漢方薬は長く飲み続けなければ効かないの?

漢方薬の分野では服用期間についてもよく質問されます。「長く飲まなきゃ治らないし、その分薬代も高くなるんでしょ?」と言われてしまうこともありますね。しかし答えはNo。

これについても先ほど同様、漢方薬としてひとくくりにしてしまうのは間違いです。例えば風邪のひきはじめによく効く葛根湯は、パブロンやルルといった総合感冒薬と同じように、飲んでから数十分~1時間程度で効きめが現れます。他にも麻黄湯や麦門冬湯など風邪によく使う漢方薬は効き目も早く、効いた実感もしやすいですね。

このように、市販されている漢方薬の多くは症状がある時だけ服用する薬です。確かに、慢性疾患のために飲み続けるものもありますが、長期に渡って飲み続けたいお客様には自己判断で始める前に1度専門医の診察を受けるようすすめるほうが良いでしょう。

古くから伝わる漢方には危険な誤解も多く、商品をおすすめする時には注意が必要です。「長く飲まないと効かないのでは?」と聞く言葉の裏には「漢方はどうせ効かないんでしょ?」という意図が隠れていることもしばしば。しかし漢方薬は上手に使えば、現代薬にも全くひけをとらない心強い味方ですので、ぜひ正しい知識を身につけ、自信を持っておすすめしてくださいね。

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