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鎮痛薬で起こる頭痛があるって本当?

3000万人もの日本人が悩むとされる、片頭痛や緊張型頭痛。いわゆる頭痛もちの頭痛と言われるもので、ちょっと疲れた時や、ストレスを多く受けたとき、あるいは女性なら、生理前にきつい頭痛に悩まされる人が多いのではないでしょうか。 また「若い頃は片頭痛持ちでした。最近、痛みは消えたけど、しつこい耳鳴りやめまいに悩まされています」 このような訴えをもつ方がいれば、それはもしかしたら「新型頭痛」なのかもしれません。

鎮痛薬を飲み続けると「薬物乱用頭痛」になる?

片頭痛は、側頭部の片側や両側がズキンズキンと脈打つように激しく痛み、吐き気や嘔吐、閃光などを感じ、ひどい場合は2、3日ほど寝込むこともあるほどです。

緊張型頭痛は、心身のストレスによる首や肩の筋肉の過緊張により、締め付けられるような頭痛に襲われるのが特徴です。痛みの程度は片頭痛ほどではありませんが、長い人では数ヶ月から1年間もダラダラと痛み続ける憂うつな頭痛です。

ところが日本では「頭痛くらいで仕事は休めない」「片頭痛なんて、いつものことだから」と軽く考え、市販の鎮痛薬でまぎらわしている人が少なくありません。ドラックストアの陳列棚に、あふれんばかりの鎮痛薬がところせましと並べられているのも、市販薬を手放せない、頭痛もちが多いためなのでしょう。

ただし、日常的な頭痛を市販薬でまぎらわしていると、やがて、「薬物乱用頭痛」というきわめて深刻な頭痛を招く可能性が高まります。

鎮痛薬を連用すると、効果は徐々に薄れてきます。飲んでも痛みが治まらなければ、強い薬に変えたり、何度も飲んだり、薬量をふやす人が多いのではありませんか?

ところが、薬をいくら飲んでも、頭痛が消えることはありません。これが、薬を飲めば飲むほど頭痛がさらに悪化する薬物乱用頭痛です。
薬物乱用頭痛になると、脳は通常なら反応しない些細な刺激にも過敏に反応し、痛みとして感じ取ってしまいます。

このため、ほぼ毎日、頭痛に悩まされるようになり、さらに鎮痛薬に頼るという悪循環に陥るのです。

導入が遅れ、「新型頭痛(脳過敏症候群)」を増加させた薬がある?

新型頭痛とは、頭痛専門医の清水俊彦先生(東京女子医科大学客員教授)と平田幸一先生(獨協医科大学教授)が提唱されている新しい病態です。まだ、医学界全体で認知されているわけではありませんが、最近、テレビやマスコミに取り上げられることも多いので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

新型頭痛は、「脳過敏症候群」とも言われます。片頭痛を長年放置したり、市販の鎮痛薬でまぎらわしていると、脳が異常に興奮(神経細胞を通じて送られる電気信号がショートした状態)しやすくなり、後年、頭痛が消えても耳鳴り、めまい、不眠、不安増強、頭重感、性格変化といったさまざまな弊害が出てくるというのです。

先に紹介した発言の方も、20~30年ほど前は、片頭痛の発作に襲われるたびに市販薬で痛みをごまかしていたそうです。

もしドラッグストア来店者のなかで、頻繁に頭痛薬を購入する方がいたら、「たかが頭痛」などと思わずに、頭痛専門医の治療を早めに受けることをすすめるのが頭痛を治す近道かもしれません。 また、片頭痛治療は、鎮痛作用だけではなく、新型頭痛への移行を防ぐために、脳の興奮を抑える働きを持つ薬が必要です。片頭痛治療の現在の第一選択薬は、両者をカバーする「トリプタン製剤」ですが、日本に導入されたのは、海外から10年も遅い2000年。じつはこの10年の遅れが、日本人の片頭痛を悪化させ、脳過敏症候群の患者さんを増やしてしまったのかもしれません。

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