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漢方薬に関する素朴な疑問

漢方薬と一口に言っても、日本と中国では異なります。 「漢方のルーツは中国にあるのだから、中身は同じじゃないの?」と思われる方が多いのですが、剤型や処方はかなり違います。 それでは日本と中国では、具体的にどのように違うのでしょうか。

日本の漢方薬と中国の漢方薬の違い

日本の漢方医学は、古代中国の医学書(「神農本草経」「黄帝内経」「傷寒雑病論」)が5~6世紀に伝わったことで始まり、その後1400年の年月をかけて、日本で独自に発展したものです。

江戸時代にオランダから入ってきた西洋医学の「蘭方」と区別するために、「漢方」と呼ばれるようになりました。

中国では、伝統医学を「中医学」と言い、処方される薬は「中薬」または「中性薬」、これらを組み合わせた薬を「方剤」と呼んでいます。

まず、日本では大量生産された漢方製剤(とくにエキス剤)が、品質の安定性、健康保険適用、調剤の簡便さなどから用いられるケースが多いのですが、中国では湯液療法(煎じ薬)が中心です。

また、日本の医師の89%が漢方薬を用いている(日本生薬製剤協会の調査)とされますが、漢方製剤は約200種類しかありません。使用できる生薬も350種類ほど。このなかで、患者さんの症や症状に合わせて選んでいます。

これに対し、中国では700種類ほどの生薬を用意し、患者さんに適した方剤を作ることが可能です。それだけ、患者さんの状態に合わせることができるのです。

さらに、日本と中国では同じ名前の処方でも基原(生薬のもととなる動植鉱物)が異なるものや、薬理活性(薬の効果)の異なるものが多数存在しています。

漢方薬は食後に飲んではいけない?

ここでは、もっとも効果の高い漢方薬の服用時間についてお話します。

まず、漢方薬は腸内での吸収を高めるために、空腹時服用が基本です。また、食後服用と指示されることの多い西洋薬との相互作用を避けるためにも、食間の服用がすすめられます。「地黄」などの一部の生薬を除き、胃腸を荒らすことが少ないので、空腹時に飲んでも問題ありません。

ただし、「食間では飲み忘れが多くなる」と思う方は、食後に飲んでもかまいません。薬を飲み忘れるより、若干効果が薄れても飲んだほうがいいわけですから。
もうひとつ心がけてほしいのは、薬の有効血中濃度を考えて、なるべく等間隔で飲んでいただきたいということ。

食前服用でもかまいませんが、夕食と翌日朝食の間隔が空き過ぎます。一日3回服用なら、朝6~7時・昼14~15時・夜22~23時の服用がベストです。これなら、食事の影響も少なく、ほぼ同じ感覚で服用できます。

ただし、「麻黄」「茶葉」という生薬には、中枢興奮作用をもたらすエフェドリン、カフェイン、ティオフィリン、アルカロイドなどの成分が含まれています。これらを有する「葛根湯」「麻黄湯」などは、就寝前の服用は避けたほうが無難です。

このような説明をすると、漢方薬は何かと面倒と思われるかもしれませんが、漢方薬の服用時間を無理に守る必要はありません。仕事や家事が忙しく、決めた時間に飲めなければ、時間をずらしてもかまいません。

あくまでも、「空腹時の方が漢方薬は吸収されやすい(成分によっては例外もあります)」と意識して、「飲めるときに飲めばいい」のです。
ただし、飲み忘れた分を、次回にまとめて飲んだりしないでください。この場合は、1回抜いてください。

日本と同じ名前の薬を中国で購入しても、漢方で考える薬効が得られるとは限りません。それどころか、中国で製造されたものを長期間飲んだところ、間質性肺炎を引き起こした事例などもあります。安易な服用で、思わぬ副作用が現れることに注意してください。

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