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人工甘味料アスパルテームとフェニルケトン尿症

甘味料のアスパルテームを含む食品には「L-フェニルアラニン化合物」と併記されているのをご存じですか?この表示は、食品表示基準で定められた表示の1つ。それではなぜ、このような表示が義務付けられているのでしょうか。今回は、アスパルテームとフェニルケトン尿症の関係について考えてみましょう。

L-フェニルアラニン化合物とはなにか

まず、L-フェニルアラニンとはタンパク質を構成するアミノ酸の1種です。タンパク質を豊富に含む肉や魚、乳製品などに含まれていますが、体内で作ることができないため食品から摂取しなければならない必須アミノ酸でもあります。

そして、L-フェニルアラニン化合物とは体の中で分解されるとL-フェニルアラニンが発生する物質を言います。つまり、「L-フェニルアラニン化合物」という表示が義務付けられているアスパルテームが体内で分解されると、フェニルアラニンが発生するということですね。

フェニルケトン尿症とはどんな病気か

通常、人の身体の中ではフェニルアラニンは専用の酵素によって分解されていきます。しかし、この専用の酵素や酵素を運ぶ輸送体が生まれつき欠損しているとフェニルアラニンを代謝できず、フェニルケトン尿症と診断されます。

フェニルケトン尿症の患者さんは治療を行わなければ、フェニルアラニンを体内に蓄積してしまうことにより知的障害を起こしてしまいます。しかし、早期から治療と食事制限を行うことで食事以外は通常と変わらない生活をすることが可能です。

そのため日本では、より確実な早期発見・早期治療を行えるよう、新生児に対して行う新生児マススクリーニングの検査項目に、フェニルケトン尿症を取り入れているのです。

「L-フェニルアラニン化合物」の表示が義務付けられている理由

先ほど説明したように、フェニルケトン尿症の患者さんはフェニルアラニンを摂取しないよう食事制限を行わなければなりません。

そこで問題になるのが、本人や家族などがフェニルアラニンを含む食品かどうかを判断しなければならない、ということ。肉や魚など、もともとタンパク質が豊富とされている食材は判断が付きやすいですが、例えばガムなどはどうでしょうか。

実はガムやダイエット食品には甘味料としてアスパルテームを含む商品が数多くあります。これらの商品の表示に「甘味料」や「アスパルテーム」だけが記載してあるとしたら、判断はなかなか難しいですよね。

ですので、アスパルテームなど名前から判断しにくい物質を含む食品には「L-フェニルアラニン化合物」と明示するよう義務付けられているのです。

フェニルケトン尿症の患者さんはご自身や保護者の方がきちんと管理していることが多いため、実際に相談を受けることはほとんどないかもしれません。しかし、医薬品を扱う専門家として、このような疾患と状態があることはしっかりと理解しておかなければなりませんね。

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