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つらいのどの痛みにお勧め【第3類医薬品】龍角散の特徴について徹底解説

本格的な冬を迎えたこの時期には咳やのどの痛みを訴えるお客様からの相談を受けることも多くなりますね。こうした症状を抑える薬の中には、眠気、便秘、胃痛などを生じるものもあり、限られたお客様にしかお勧めできないものも多々あります。そこで、今回は多くのお客様にお勧めできる、生薬を主成分とした低リスクの薬・龍角散についてご紹介したいと思います。

龍角散はどんな薬?

龍角散は生薬を主成分とした薬です。生薬とは自然界に存在する植物や動物などに由来する、薬効を持った成分です。龍角散に含まれる生薬は以下のような働きをします。

キョウニン
杏子の核に由来する成分で、咳・喘息・呼吸困難などを抑える効果があります。「杏仁」と表記されることもあります。
カンゾウ
カンゾウ(甘草)はショ糖の100倍以上も甘いと言われるグリチルリチン酸と呼ばれる有効成分を含みます。グリチルリチン酸は抗炎症作用に優れた物質で、喉の痛みなどを和らげます。
キキョウ
キキョウ科の多年生草本植物で、サポニンと呼ばれる成分を多く含んでいます。サポニンには去痰、鎮咳、鎮痛、鎮静、解熱などの作用があり、鎮咳・去痰・排膿などを目的として多くの漢方薬に使われています。
セネガ
ヒメハギ科の多年草で元々は北アメリカに自生していた植物に由来する成分です。気道粘膜の分泌を促進して去痰作用を示すことから、主に去痰薬として使われています。
龍角散は以上の4つの生薬が協調的に働くことにより、効果的に喉の痛み・咳・痰などを改善することができます。

龍角散にはどんな種類がある?

市販の龍角散には以下の3種類があり、いずれも【第3類医薬品】に分類されています。

➀龍角散

缶に入った粉末タイプで、20g、43g、90g入りの3種類が販売されています。前述した4種類の生薬が配合されており、付属のサジで粉末を測り取って服用します。

➁龍角散ダイレクトスティック

1包ずつに分包されており、服用しやすいのが特徴です。4種類の生薬に加えて、ニンジン末やアセンヤク末も含んでおり、より強力な抗炎症作用が期待できます。

顆粒状で口の中で素早く溶けるように設計されています。ミント味とピーチ味の2種類があり、服用のしやすさに配慮されています。

➂龍角散ダイレクトトローチ マンゴーR

トローチタイプの龍角散です。他の龍角散と同様に4種の生薬が配合されており、口の中でかまずに溶かしながら服用します。

龍角散にはどんなメリットがある?

龍角散のメリットは、副作用が少なく安全性が高いことです。市販されている多くの風邪薬には、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン成分が含まれているため、眠気を起こす可能性が高くなります。

お車の運転をされる方や学生、社会人の方などはこうした眠気によるパフォーマンスの低下が深刻な問題となることもあります。さらに抗ヒスタミン成分には抗コリン作用があるため、緑内障や前立腺肥大などのある方も服用は避けるべきとされています。

一方で、龍角散には抗ヒスタミン成分が含まれていないため、こうした副作用の心配はありません。胎児や乳児に悪影響を及ぼす心配もないことから、妊娠中や授乳中の方でも安心して服用できる点も大きなメリットと言えます。

 龍角散の服用の仕方は?

龍角散は他の薬と違い、水無しで服用することが大きな特徴です。これは、龍角散の主な作用部位が喉であるためです。

口から摂取した龍角散の粉末は喉の組織に直接作用して絨毛運動を活発にします。このため、龍角散を水で飲みこむと、薬が一瞬で喉を通過してしまうため十分な効果を得ることができなくなってしまうのです。龍角散をお買い上げのお客様にはこの点を忘れずに説明してあげましょう。

このように龍角散は安全性が高く、幅広いタイプの方の咽頭痛・咳・痰にお勧めできる薬となっています。妊娠中・授乳中の方からお子様、高齢の方まで服用可能なため、接客時の選択肢の一つとして頭に入れておくと良いでしょう。龍角散には水無しで服用するなどの注意点などもあるので、適切にご案内できるようにしておきましょう。

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