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対策問題集

対策問題集

第42回:
“人体の働きと医薬品 Part6”は全部で10問です。
さぁ、やってみよう!

小腸に関する記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 1:小腸のうち十二指腸に続く部分の概ね上部2/5が回腸、残りの約3/5が空腸であるが、明確な境目はない。
  2. 2:十二指腸には膵臓からの膵管と胆嚢からの胆管の開口部があり、膵液と胆汁を腸管内へ送り込んでいる。
  3. 3:半消化された蛋白質をアミノ酸まで分解する酵素はラクターゼである。
  4. 4:小腸は内壁粘膜に絨毛がない点で大腸と区別される。
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答え
2
<解説> 小腸は全長6~7mの管状の臓器で十二指腸、空調、回腸の3部分に分かれています。十二指腸は胃から連なる約25㎝のC字型に彎曲した部分で、すい臓からの膵管と胆嚢からの胆管の開口部があって、それぞれ膵液と胆汁を腸管内へ送り込んでいます。

 小腸のうち十二指腸に続く部分の概ね上部2/5が空腸、残りの3/5が回腸ですが、明確な境目はありません。空腸で分泌される腸液に半消化された蛋白質をアミノ酸まで分解するエレプシン、炭水化物を単糖類にまで分解するマルターゼ、ラクターゼ等が加わり消化液として働きます。

 小腸は栄養分の吸収に重要な器官であるため内壁の表面積を大きくする構造を持っていて、十二指腸の上部を除く小腸の内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面は絨毛に覆われていてビロード状になっています。

血液に関する次の記述のうち誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:血液は血漿と血球からなり、酸素や栄養分を全身の組織に供給し、二酸化炭素や老廃物を排泄器官へ運ぶ働きがある。
  2. 2:血漿は90%以上が水分で、アルブミン、グロブリン等の蛋白質を含むが、糖質や脂質は含まない。
  3. 3:アルブミンは血液の浸透圧を保持する働きがある。
  4. 4:血小板は損傷した血管からの血液の流出を抑える仕組みに重要な役割を担う。
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答え
2
<解説> 血液は血漿と血球からなり、酸素や栄養分の供給、二酸化炭素や老廃物の運搬のほかに、ホルモンの運搬によって、体内各所の器官・相互の連絡を図る役割もあります。又血液の循環によって、体内で発生した温熱が体表、肺、四肢の末端等に分配され、全身の温度を均等に保つのに役立っています。

 血漿は90%以上が水分で、アルブミン、グロブリン等の蛋白質のほか、微量の糖質、脂質、電解質を含みます。アルブミンは血液の浸透圧を保持する働きがあるほか、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けにくくします。グロブリンはその多くが免疫反応において、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を特異的に認識する抗体としての役割を担います。脂質は血漿中の蛋白質と結合してリポ蛋白質を形成し、血漿中に分散しています。

 血球の中には赤血球、白血球、血小板が含まれていて、血小板は血液を凝固させる作用があります。

泌尿器系に関する次の記述について、誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:尿は健康な状態であれば、細菌等の微生物は存在しない。
  2. 2:女性は男性に比べて尿道が短いため細菌などが侵入したとき膀胱まで感染を生じやすい。
  3. 3:副腎髄質ホルモンの一種であるアルドステロンは体内の塩分と水を排泄し、カリウムの貯留を促す作用がある。
  4. 4:腎小体では血液中の老廃物が濾過される。
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答え
3
<解説> 泌尿器系は血液の老廃物を尿として体外へ排泄するための器官です。腎臓に入る動脈は細かく枝分かれしていて、毛細血管が小さな球状になった糸球体を形成します。糸球体の外側を袋状のボウマン嚢が包み込んでおり、これを腎小体といいます。ボウマン嚢から1本の尿細管が伸びて、腎小体と尿細管とで腎臓の基本的な機能単位(ネフロン)を構成しています。

 腎小体では肝臓でアミノ酸が分解されて生成する尿素など、血液中の老廃物が濾過され、原尿として尿細管へ入ります。その他血漿や蛋白質以外の血漿成分も腎小体で濾過されます。尿細管では、原尿中のブドウ糖やアミノ酸等の栄養分及び血液の維持に必要な水分や電解質が再吸収される結果、老廃物が濃縮され、余分な水分、電解質とともに尿となります。

 副腎は左右の腎臓の上部に付属し、皮質と髄質の2層からなります。副腎皮質から副腎皮質ホルモンが分泌されますが、その一つであるアルドステロンは体内に塩分と水分を貯留し、カリウムの排泄を促す作用があり、電解質と水分の排出調節の役割を担っています。
一方副腎髄質では、自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌されています。

皮膚に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:皮膚の色は表皮や真皮に沈着したメラニン色素によるものである。
  2. 2:皮膚に物理的な刺激が繰り返されると、角質層が肥厚してたこやうおのめができる。
  3. 3:ヒトの皮膚の表面には常に一定の微生物が付着しており、それら微生物の存在によって、皮膚表面での病原菌が繁殖しやすい。
  4. 4:角質層はケラチンでできた角質細胞とセラミドを主成分とする細胞間脂質で構成されていて、皮膚のバリア機能を担っている。
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答え
3
<解説> ヒトの皮膚の表面には常に一定の微生物が付着しており、それらの微生物の存在によって、皮膚の表面での病原菌の繁殖が抑えられ、また、病原菌の体内への侵入が妨げられています。皮膚の表面に存在する微生物のバランスが崩れたり、皮膚を構成する組織が損傷したりすると、病原菌の繁殖、侵入が起こりやすくなります。

 皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層構造からなり、表皮は角質層と表皮細胞の層に分けられます。角質層は細胞膜が丈夫な線維性の蛋白質(ケラチン)でできた板状の角質細胞と、セラミドを主成分とする細胞間脂質で構成されており、皮膚のバリア機能を担っています。皮膚に物理的な刺激が繰り返されると角質層が肥厚して、たこやうおのめができます。

 皮膚の色は表皮や真皮に沈着したメラニン色素によるものです。メラニン色素は表皮の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割があります。メラニン色素の防護能力を超える紫外線に曝されると、皮膚組織が損傷を受け、炎症を生じて発熱や水疱、痛み等の症状が起きます。またメラノサイトが活性化されてメラニン色素の過剰な産生が起こり、シミやそばかすとして沈着します。

骨格系に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 1:すべての骨の骨髄で造血が行われている。
  2. 2:有機質は骨に硬さを与え、無機質(蛋白質及び多糖体)は骨の強靱さを保つ。
  3. 3:平滑筋には筋繊維を顕微鏡で観察すると横縞模様が見える。
  4. 4:平滑筋は比較的弱い力で持続的に収縮する特徴がある。
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答え
4
<解説> 骨には①身体各部の支持機能、②臓器保護機能、③運動機能、④造血機能、⑤貯蔵機能があります。このうち④の造血機能については、すべての骨の骨髄で造血が行われるわけではなく、主として胸骨、肋骨、脊椎、骨盤、大腿骨等が造血機能を担います。骨は生きた組織であり、成長が停止した後も一生を通じて破壊(吸収)と修復(形成)が行われています。骨吸収と骨形成とが互いに密接な連絡を保ちながら進行し、これが繰り返されることで骨の新陳代謝が行われます。骨組織を構成する無機質は炭酸カルシウムやリン酸カルシウム等の石灰質からなります。無機質は骨に硬さを与え、有機質(蛋白質及び多糖体)は骨の強靭さを保ちます。

 筋組織は筋細胞とそれらをつなぐ結合組織からなり、その機能や形態によって骨格筋、平滑筋、心筋に分類されます。

骨格筋と心筋には顕微鏡で観察すると、横縞模様が見えます。心筋は強い収縮力と持久力がありますが、骨格筋は収縮力は強いものの疲労しやすく、長時間の動作を持続することは困難です。平滑筋には骨格筋のような横縞模様はありませんが、消化管壁、血管壁、膀胱等に分布し、比較的弱い力で持続的に収縮する特徴があります。

医薬品の吸収に関する次の記述について、誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:坐剤は肛門から挿入すると直腸内で溶け、有効成分が容易に循環血液中に入るため内服薬よりも全身作用が速やかに現れる。
  2. 2:医薬品成分は主に胃粘膜より吸収される。
  3. 3:消化管からの吸収は医薬品成分が濃い方から薄い方へ拡散していくことによって消化管にしみ込んでいく現象である。
  4. 4:点鼻薬の成分は初めに肝臓で代謝を受けることなく血流に乗って全身を巡る。
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答え
2
<解説> 腸陽性製剤は中性の状態で有効成分が溶出するように設計されたもので、通常の内服薬は強酸性条件下の胃で溶出が始まるが、腸溶性製剤は中性の腸内で溶け出すという特徴を持ちます。

 内服薬はその有効成分が消化管から吸収されて循環血液中に拡散し、全身作用を現します。腸陽性製剤のような特殊なものを除き、多くの場合、胃で有効成分が溶出します。吸収は主として小腸でなされます。一般に消化管からの吸収は濃い方から薄い方へ拡散していくことによって消化管にしみ込んでいく現象です。

 内服以外では、坐剤や、禁煙補助剤(咀嚼剤)、点鼻薬のように、粘膜から吸収されて全身作用を目的とするものがあります。坐剤は内服薬より全身作用が速やかに現れます。又禁煙補助剤は口腔粘膜から吸収されて全身作用を現します。これらの部位を通っている静脈は肝臓を経由しないため吸収されて循環血液中に入った成分は初めに肝臓で代謝を受けることがありません。

医薬品の剤型に関する次の記述について誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:錠剤は胃、腸等で崩壊して、有効成分が溶け出して薬効をもたらす。
  2. 2:口腔内崩壊錠はトローチ剤のことである。
  3. 3:顆粒剤は噛み砕かずに水などで喉に流し込む必要がある。
  4. 4:適用部位を水から遮断する場合は軟膏剤を用い、水で洗い流しやすくする場合等ではクリーム剤を用いることが多い。
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答え
2
<解説> 錠剤は内服する医薬品の剤型として広く用いられています。固形製剤であるため医薬品が飛び散らずに服用できる点や医薬品が持つ苦みや刺激性を口中で感じることなく服用できることが特徴です。口腔用の錠剤の中には口の中の使い方の違いによって、①口腔内崩壊錠、②チュアブル錠、③トローチ、ドロップ等に分類されます。

 口腔内崩壊錠は口の中で唾液によって比較的速やかに溶けます。水なしでも服用することができます。薬効を期待する場所が、口腔内であるとは限らず、口の中で溶かした後に、唾液と一緒に飲み込むことができます。チュアブル錠は口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤型であり、水なしでも服用できます。

 トローチやドロップは薬効を期待する部位が口の中や喉に対するものである場合が多く、飲み込まずに口の中で医薬品を舐めて徐々に溶かして使用します。

副作用として現れる間質性肺炎に関する記述について誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:間質性肺炎とは、気管支又は肺胞が細菌に感染して間質に炎症を生じたものである。
  2. 2:症状が一時的で改善することもあるが、悪化すると肺線維症となる場合がある。
  3. 3:息切れ、息苦しさ等の呼吸困難、空咳、発熱等が、医薬品の使用から1~2週間程度の間に起こる。
  4. 4:肺胞と毛細血管の間でのガス交換率が低下して、血液に酸素が十分取り込めずに低酸素状態となる。
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答え
1
<解説> 通常の肺炎は気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものであるのに対し、間質(肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織)で起きた肺炎を間質性肺炎といいます。間質性肺炎では、肺胞と毛細血管の間でのガス交換効率が低下して、血液に酸素が十分取り込めずに低酸素状態となります。

 息切れ・息苦しさ等の呼吸困難空咳(痰の出ない咳)、発熱等が、医薬品の使用から1~2週間程度の間に起きます。これらの症状はかぜ、気管支炎等の症状と区別が難しいこともあり、注意が必要です。症状が一時的で改善することもありますが、悪化すると肺線維症になる場合があり、重篤な症状への進行を防止するため、原因と思われる薬剤を中止して速やかに医師の診療を受ける必要があります。

医薬品の体内での働きに関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:医薬品がその薬効をもたらすには、医薬品の有効成分がその作用対象である器官や組織に、ある一定量以上到達する必要がある。
  2. 2:血中濃度は高くすればするほど効果が得られるが副作用も現れやすくなる。
  3. 3:腎臓機能が低下している状態で医薬品を使用した場合、医薬品の血中濃度が高く維持されるため副作用の発現リスクが高くなる。
  4. 4:医薬品の有効成分はその医薬品成分分子が、標的となる器官や組織の表面に分布する特定の蛋白質(受容体)に結合して作用を現すことが多い。
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答え
2
<解説> 医薬品がその薬効をもたらすには、医薬品の有効成分がその作用対象である器官や組織に、ある一定量以上到達する必要があります。そのため、医薬品が摂取された後、成分の吸収が進むにつれて、その血中濃度が上昇し、ある閾値(最少有効濃度)を超えたときに生体の反応として薬効がもたらされます。血中濃度はある時点でピーク(最高血中濃度)に達すると、代謝及び排泄が進むにしたがって徐々に低減していきます。やがて血中濃度が最小有効濃度を下回ると、薬効は消失します。

 一度に多量の医薬品を摂取したり、十分な間隔を開けずに追加摂取して血中濃度を高くしても、ある濃度以上で薬効は頭打ちになり、むしろ有害な作用が現れやすくなります。

 全身作用を目的とする医薬品は使用後の一定時間、その有効成分の血中濃度推移が、最小血中濃度未満の濃度域(無効域)と、薬効よりも毒性が強く現れる濃度域(危険域、中毒域ともいう)の間の範囲(有効域、治療濃度域ともいう。)となるよう使用量や使用間隔が定められています。

中毒性表皮壊死症(TEN)に関する次の記述について誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:38℃以上の高熱、口唇の発赤・びらん、目の充血等の症状を伴う病態で、スティーブンス・ジョンソン症候群とも呼ばれる。
  2. 2:全身が広範囲にわたって赤くなり全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められる。
  3. 3:目の充血、目やに、まぶたの腫れなどの症状が持続したり、急激に悪化するような場合には、専門医の診療を受ける必要がある。
  4. 4:発生頻度は人口100万人あたり年間0.4~1.2人と報告されている。
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答え
1
<解説> 中毒性表皮壊死症(TEN)は、全身が広範囲にわたって赤くなり、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、高熱(38℃以上)、口唇の発赤・びらん、目の充血等の症状を伴う病態で、最初に報告をした医師の名前にちなんでライエル症候群とも呼ばれています。

 スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と関連のある病態と考えられており,TENの症例の多くがSJSの進展型とみられています。SJSの発生頻度は100万人当たり年間1~6人ですが、TENは0.4~1.2人と報告されています。TENはSJSと同様、現状では発症機序の詳細は明確にされておらず発症を予測することは困難であると考えられています。

 SJS、TENのいずれも、発生は非常にまれであるとはいえ、いったん発症すると皮膚症状が軽快した後も、目や呼吸器官等に障害が残ったり、多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがある重篤な皮膚疾患です。

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