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対策問題集

対策問題集

第34回:
“人体の働きと医薬品 Part5”は全部で10問です。
さぁ、やってみよう!

胃に関する次の記述のうち正しいものの組み合わせを選びなさい。

  • (a)食道から内容物が送られてくると、その刺激に反応して胃壁の平滑筋が弛緩し、容積が拡がる。
  • (b)胃粘膜の表面には無数の微細な孔があり、胃酸などを分泌している。
  • (c)ペプシノーゲンは胃粘液によって、蛋白質を消化する酵素であるペプシンになる。
  • (d)胃粘液に含まれる成分は小腸におけるビタミンDの吸収にも重要な役割を果たしている。 

  1. (a,b)
  2. (b,c)
  3. (c,d)
  4. (a,d)
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答え
1
<解説> 胃は上腹部にある中空の臓器で中身が空の状態では扁平に縮んでいますが、食道から内容物が送られてくると、その刺激に反応して胃壁の平滑筋が弛緩し、容積が拡がります。
 胃の内壁は粘膜で覆われて多くのひだをなしています。粘膜の表面には無数の微細な孔があり、胃腺につながって胃酸のほか、ペプシノーゲンなどを分泌しています。ペプシノーゲンは胃酸によって、蛋白質を消化する酵素であるペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働きます。又胃酸は胃内を強酸性に保って、内容物が腐敗や発酵を起こさないようにする役目も果たしています。
 胃液による消化作用から胃自体を保護するため、胃の粘膜表皮を覆う細胞から粘液が分泌されています。胃液分泌と粘液分泌のバランスが崩れると、胃液により胃の内壁が損傷を受けて胃痛等の症状を生じます。又、胃粘液に含まれる成分は小腸におけるビタミンB12の吸収にも重要な役割を果たしています。

胆嚢、肝臓に関する次の記述について正しいものの組み合わせを選びなさい。

  • (a)肝臓では生体で必要なすべてのアミノ酸を生合成することができる。
  • (b)胆汁は胆嚢で産生される。
  • (c)胆汁に含まれるビリルビンは、赤血球中のヘモグロビンが分解されて生じた老廃物である。
  • (d)肝臓はアンモニアを尿素へと代謝する。

  1. (a,b)
  2. (c,d)
  3. (a,c)
  4. (b,d)
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答え
2
<解説> 胆嚢は肝臓で産生された胆汁を凝縮して蓄える器官で、十二指腸内に内容物が入ってくると収縮して腸管内に胆汁を送り込みます。
 胆汁に含まれる胆汁酸塩は脂質の消化を容易にし、又、脂溶性ビタミンの吸収を助けます。腸内に放出された胆汁酸塩の大部分は、小腸で再吸収されて肝臓に戻されます。胆汁には古くなった赤血球や過剰のコレステロール等を排出する役割もあります。
 肝臓は小腸で吸収されたブドウ糖をグリコーゲンとして蓄えます。グリコーゲンは血糖値が下がったとき等、必要に応じてブドウ糖に分解されてエネルギーとして使用されます。 また、体内で生成した滞留すると生体に有害な物質を、無毒化し、又は体外に排出されやすい形にします。例えばアルコールはアセトアルデヒドからさらに代謝されて酢酸となります。アミノ酸が分解されて生成したアンモニアは肝臓において尿素へと代謝され排泄されます。それに、肝臓はコレステロール、血液凝固因子、アルブミンなどを産生したり、必須アミノ酸以外のアミノ酸を生合成する働きも担っています。

リンパ系に関する次の記述について、誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:リンパ管には逆流防止のための弁があって、リンパ液は一定の方向に流れている。
  2. 2:リンパ液の流れは主に心臓のポンプの働きによるものであり、流速は血流に比べて緩やかである。
  3. 3:リンパ節の内部にはリンパ球やマクロファージが密集していて、リンパ液で運ばれてきた細菌やウイルス等が免疫反応によって排除される。
  4. 4:リンパ節は首筋、脇の下、もものつけ根に多く集まっている。
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答え
2
<解説> リンパ液が循環するリンパ系は、血管系とは半ば独立した循環系として存在します。リンパ系には心臓のようにポンプの働きをする器官がなく、リンパ液の流れは主に骨格筋の収縮によるものであり、流速は血流に比べて緩やかです。
 リンパ液は血漿の一部が毛細血管から組織の中へ滲み出して組織液となったもので、血漿とほとんど同じ成分ですが、蛋白質が少なく、リンパ球を含みます。組織液は組織中の細胞に酸素や栄養分を供給して二酸化炭素や老廃物を回収したのち、そのほとんどは毛細血管で吸収されて血液に還元されますが、一部はリンパ管に入ってリンパ液となります。その際、組織中に侵入した細菌、ウイルス等の異物もリンパ管に取り込まれます。
 リンパ管には逆流防止のための弁があり、リンパ液は一定方向に流れるようになっています。リンパ管は互いに合流して次第に太くなり、最終的に鎖骨下静脈につながります。 首筋、脇の下、ももの付け根などにあるリンパ節の内部にはリンパ球やマクロファージ(貪食細胞)が密集していて、リンパ液で運ばれてきた細菌やウイルス等はここで免疫反応によって排除されます。

目に関する次の記述について誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:涙液の中にはリゾチームや免疫グロブリン等が含まれている。
  2. 2:視細胞には、色を識別する細胞と、わずかな光でも敏感に反応する細胞があるが、光を感じる反応にはビタミンAが不可欠である。
  3. 3:角膜や水晶体には毛細血管により栄養分や酸素が供給される。
  4. 4:虹彩は瞳孔を散大・縮小させて眼球内に入る光の量を調節している。
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答え
3
<解説> 角膜と水晶体の間は組織液(房水)で満たされ、角膜に一定の圧を生じさせています。透明な角膜や水晶体には血管が通っておらず、房水によって栄養分や酸素が供給されます。水晶体の前には虹彩があり、瞳孔を散大・縮小させて眼球内に入る光の量を調節しています。
 水晶体はその周りを囲んでいる毛様体の収縮・弛緩によって、近くのものを見るときには丸く厚みが増し、遠くのものを見るときには扁平になります。
 網膜には光を受容する細胞(視細胞)が密集していて、個々の視細胞は神経線維につながり、それが束なって眼球の後方で視神経となります。視細胞には色を識別する細胞とわずかな光でも敏感に反応する細胞の二種類があります。光を感じる反応にはビタミンAが不可欠であるため、それが不足すると夜間視力の低下を生じます。

筋組織に関する次の記述について誤っているものを選びなさい。

  1. 1:筋組織はその機能や形態によって、骨格筋、平滑筋、心筋に分類される。
  2. 2:骨格筋の筋繊維を顕微鏡で観察すると横縞模様が見える。
  3. 3:心筋は不随意筋であり、筋繊維には横縞模様がない。
  4. 4:随意筋は体性神経系で支配されるが、不随意筋は自律神経に支配されている。
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答え
3
<解説> 筋組織は筋細胞とそれらをつなぐ結合組織からなり、その機能や形態によって、骨格筋、平滑筋、心筋に分類されます。関節を動かす骨格筋は関節を構成する骨に腱を介してつながっています。
 骨格筋は筋繊維を顕微鏡で観察すると横縞模様が見えるので横紋筋とも呼ばれます。収縮力が強く、自分の意識通りに動かすことができる随意筋ですが、疲労しやすく長時間の動作は困難です。
 平滑筋は不随意筋で、筋繊維に骨格筋のような横縞模様がなく、消化管壁、血管壁、膀胱等に分布し、比較的弱い力で持続的に収縮する特徴があります。
 心筋は心臓壁にある筋層を構成する筋組織で、不随意筋ですが筋繊維には骨格筋のような横縞模様があり、強い収縮力と持久力を兼ね備えています。
 筋組織は神経からの指令によって収縮しますが、随意筋(骨格筋)は体性神経系(運動神経)で支配されるのに対して、不随意筋(平滑筋及び心筋は)自律神経系に支配されています。

各効果器に対する自律神経系の働きに関する次の組み合わせのうち誤っているものを一つ選びなさい。

  • (a)効果器
  • (b)交感神経系
  • (c)副交感神経系

  1. (a)目, (b)瞳孔収縮, (c)瞳孔散大
  2. (a)心臓, (b)心拍数増加, (c)心拍数減少
  3. (a)胃, (b)血管の収縮, (c)胃液分泌亢進
  4. (a)膀胱, (b)排尿筋の弛緩, (c)排尿筋の収縮
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答え
1
<解説> 自律神経系は交感神経系と副交感神経系からなります。交感神経系は体が闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢をとるように働き、副交感神経系は体が食事や休憩等の安息状態となるように働きます。
 効果を及ぼす各臓器・器官に対して、交感神経と副交感神経の二つの神経線維が支配していて、それらは互いに拮抗して働きます。
 交感神経と副交感神経は効果器でそれぞれの神経線維の末端から神経伝達物質を放出し、効果器を作動させています。交感神経の神経伝達物質はアドレナリンとノルアドレナリン、副交感神経の神経伝達はアセチルコリンです。ただし汗腺を支配する交感神経線維の末端では例外的にアセチルコリンが伝達物質として放出されています。
 交感神経系は瞳孔を散大させ、末梢血管を収縮、発汗亢進、グリコーゲンの分解等に働き、副交感神経系は瞳孔縮小、末梢血管拡張、気管支狭窄、グリコーゲンの合成等に働きます。

医薬品の代謝、排泄等に関する次の記述について誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:肝臓の機能が低下した状態にある人では、正常な人に比べて、循環血液中に医薬品の成分がより多く到達することになり、効き目が強く現れやすい。
  2. 2:体内に吸収された医薬品の成分は乳汁中に移行することはない。
  3. 3:医薬品の成分によっては、未変化体又は代謝物が胆汁中に分泌され、糞便中に混じって排泄されるものもある。
  4. 4:医薬品の成分は血液中で血漿蛋白質と結合した複合体を形成しているため、一度に代謝されてしまうことはない。
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答え
2
<解説> 消化管で吸収された医薬品の成分は消化管の毛細血管から血液中へ移行します。その血液は門脈を経由して肝臓に入るので、吸収された成分は循環血流に乗って全身へ巡る前に、肝臓を通過する際に酵素の働きにより代謝を受けるため、循環血液中に到達する医薬品の成分量は消化管で吸収された量より少なくなります。
 循環血液中に移行した成分は主として肝細胞内の酵素の働きで代謝を受けます。ほとんどの場合に医薬品成分は血液中で血漿蛋白質と結合した複合体を形成し、複合体を形成している分子には酵素が作用しないため、一度に代謝されてしまうことがなく、徐々に代謝されていきます。
 肝臓や腎臓の機能が低下した人では、正常の人よりも医薬品成分が循環血液中に存在する時間が遷延し、効き目が強く現れることがあります。
 医薬品成分が排泄される方法としては尿中のほか、糞便中に混じって排泄されるもの、又、乳汁も体外に排泄される経路の一つといえます。

副作用として現れる肝機能障害に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:自覚症状がなく、健康診断等の血液検査で初めて判明する場合がある。
  2. 2:黄疸は、ビリルビンが胆汁中へ排出されず血液中に滞留して皮膚や白目が黄色くなる現象である。
  3. 3:主な症状は、吐き気、下痢、胃部不快感などの胃腸障害である。
  4. 4:医薬品の使用による肝機能障害は医薬品の成分又はその代謝物の肝毒性による中毒性のものと、特定の体質で現れるアレルギー性のものに大別される。
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答え
3
<解説> 医薬品の使用により生じる肝機能障害は、医薬品の成分又はその代謝物の肝毒性による中毒性のものと、特定の体質で現れるアレルギー性のものとに大別されます。
 自覚症状がみられず健康診断等の血液検査で初めて判明する場合もあり、主な症状としては、全身の倦怠感、黄疸のほか、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐き気等を生じます。皮膚や白目が黄色くなる黄疸は、ビリルビンが胆汁中へ排出されず、血液中に滞留して生じる現象です。
 肝機能障害が疑われた時点で、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けることが重要であり、漫然と使用し続けた場合には不可逆的な病変(肝不全)に至ることもあります。

副作用として現れるショック(アナフィラキシー)に関する次の記述について、誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:医薬品の成分に対する即時型の過敏反応である。
  2. 2:発症してからの進行が非常に早い(2時間以内)ことが特徴である。
  3. 3:アナフィラキシー様症状は呼吸困難やチアノーゼを生じることはない。
  4. 4:以前にその医薬品によってアレルギーを起こしたことがある人ではリスクは高いとされる。
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答え
3
<解説> ショック(アナフィラキシー)は医薬品の成分に対する即時型の過敏反応です。 発生頻度は低いものの、以前にその医薬品の使用によって蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人で起きる可能性が高いとされています。
 顔や上半身の紅潮・熱感、皮膚の痒み、蕁麻疹、口唇や舌・手足のしびれ感、むくみ(浮腫)、吐き気、顔面蒼白、手足が冷たくなる、冷や汗、息苦しさ・胸苦しさなどの症状が突如現れ、発症すると急速に症状か進行してチアノーゼや呼吸困難を生じ、適切な対応が遅れれば致命的な転帰をたどるおそれがあります。発症してから進行が非常に速いことが特徴であり、救急車等を利用して直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診する必要があります。
 アナフィラキシー様症状は、初めて使用した医薬品で起きる場合等、その原因がアレルギーかどうかはっきりしない時の呼称で、ショック(アナフィラキシー)と同様の症状が現れ、その対応における違いはありません。

中毒性表皮壊死症(TEN)に関する次の記述について誤っているものを一つ選びなさい。

  1. 1:目の異変は皮膚等の変化とほぼ同時又は先に現れ、両目に急性結膜炎が起こるとTENの前兆である可能性がある。
  2. 2:TENは全身が広範囲にわたって赤くなり、全身の10%以上に火傷用の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められる。
  3. 3:TENの年間発生頻度は皮膚粘膜症候群(SJS)のそれよりも高い。
  4. 4:原因と考えられる医薬品の服用後2週間以内に発症することが多い。
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答え
3
<解説> 皮膚粘膜症候群(SJS)は高熱を伴って発疹・発赤、火傷用の水疱等の激しい症状が、比較的短期間に全身の皮膚、口、目の粘膜に現れる病態です。発生頻度は人口100万人当たり年間1~6人と報告されています。
 中毒性表皮壊死症(TEN)は全身が広範囲にわたって赤くなり、全身の10%以上に火傷用の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、高熱(38℃以上)、口唇の発赤・びらん、目の充血等の症状を伴います。SJSと関連のある病態と考えられており,TENの症例の多くがSJSの進展型とみられています。発生頻度は人口100万人当たり0.4~1.2人と報告されています。
 高熱、目の充血、目やに、まぶたの腫れ、口唇の違和感、排尿・排便時の痛み、のどの痛み、皮膚の広い範囲が赤くなる等の症状が持続したり、急激に悪化したりする場合には医薬品の使用を中止し皮膚科専門医を受診する必要があります。特に目の異変は、口腔等の粘膜の変化とほぼ同時に又は皮膚の変化よりも半日から1日程度先に現れ、両目に急性結膜炎が起こることが知られていて、そのような症状が現れたときはSJS又はTENの前兆である可能性があります。SJSとTENはともに原因と考えられる医薬品の服用後2週間以内に発症することが多いですが、1か月以上たってから起こることもあります。

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