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胃腸薬

50歳前後の女性が来店されました。『明日から外国旅行に行くのですが、食べ物があわなかったりした時に服用するとしたら、この胃薬でいいですか?』と健胃生薬、鎮痛成分、制酸成分、胃粘膜保護成分、消化酵素、鎮痛成分などが配合された胃腸薬をお持ちになりました。
一般用胃腸薬は胃の痛み、胸やけ、胃もたれ等を改善する目的で、制酸剤、健胃剤、消化剤、粘膜保護剤、鎮痛鎮頸剤、H2受容体拮抗剤や漢方製剤などが様々な症状に対応できるよう配合されています。逆に症状を限定しない場合が多く、胃の機能に相反する成分を配合している製剤もあります。
OTC薬の適応となる症状と使用薬剤について考えてみましょう。
1. 胃酸分泌亢進による症状(胃痛、胸やけ、逆流)
胃酸分泌亢進による症状が中心の時、まず酸を中和する制酸剤(炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウムゲル等)が用いられます。空腹時の胃痛や胸やけでは粘膜修復保護成分(アルジオキサ、メチルメチオニンスルホニウムクロライド等)が配合されたものを用います。
2. 飲み過ぎ、食べ過ぎによる症状
アルコールの過剰摂取は胃粘膜を障害し胃酸分泌の亢進、消化管運動の低下を招き、二日酔いとしてむかつきや吐き気、胃もたれなどを引き起こします。そのため飲み過ぎによる胃症状には胃酸を中和する制酸剤と消化管運動を助ける健胃剤(オウバク、ゲンチアナ、ウイキョウ等)や胃膜修復剤(スクラルファート、アルジオキサ、アズレンスルホン酸ナトリウム等)を用います。
3. 消化管運動不全による胃のもたれ、腹部膨満感
消化管運動不全による胃もたれ、腹部膨満感、食欲不振には胃腸運動調律剤のマレイン酸トリメプチンを用います。脂肪分解を促すリパーゼは脂肪分の多い食事を摂る機会が多い人に向いています。げっぷなどの胃部・腹部膨満感で食物が滞留したとき胃粘膜保護成分(スクラルファート等)や利胆成分(ウルソデヒドロオキシコール酸等)に加え、消泡成分(ジメチルポリシロキサン、シロキサリース等)を用いることで食物が停滞した胃の痛みを改善することができます。
4. 食後の胃痛
食後の心窩部の差し込む痛みは胃痙攣によることが多いため、消化管平滑筋の痙攣を抑える抗コリン剤(臭化ブチルスコポラミン等)や鎮痙剤(塩酸パパベリン等)の使用がお勧めです。
最後に使用する人がどの部位に痛みを感じるかで、場合によってはOTC薬が適切ではない場合もあります。

以下に痛みの部位により考えられる疾患を挙げてみました。コミュニケーションの参考になればと思います。

右上腹部 胆のう炎、胆石、腎結石、胃十二指腸潰瘍、急性肝炎 etc
右下腹部 虫垂炎、腸閉塞、尿路結石 etc
心窩部 胃潰瘍、胃炎、膵炎、左腎臓疾患、心筋梗塞 etc
左上腹部 腎疾患、膵炎、胃潰瘍、尿路結石 etc
左下腹部 腸炎、左卵巣嚢腫茎捻転 etc
下腹中央部 子宮外妊娠、S字結腸捻転 etc
腹部全体 腸炎、腹膜炎、虫垂炎初期 etc

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