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整腸薬

幼稚園児と思われる女の子を連れた女性がご来店されました。『この子が、下痢しているのですが、いいお薬はありますか?』とお尋ねです。

小児(高齢者も)が下痢症状を起こしている場合は脱水症状を起こしやすいため十分な水分補給が必要です。但し市販のイオン飲料はナトリウムが少なく糖質が多いため水様便になりやすく勧めない様にします。もし、嘔吐や意識障害がある場合は医療機関の受診を勧めましょう。OTC薬を使用するなら収斂成分(タンニン酸ベルベリンやタンニン酸アルブミン)や整腸成分(乳酸菌、生薬成分例えばオウバク、ゲンノショウコ、アセンヤク等)の配合されたものが適しています。但し塩酸ロペラミドは安全性が確立されていないので15歳未満には使用しないように注意しましょう。又8歳未満にはビスマス製剤を使用しないようにお伝えしましょう。

下痢は一般に有害物質を排泄させる生体防御反応なので止瀉効果が強すぎる場合、症状を遷延させたり便秘になったりすることがあります。そのため長くても止瀉剤は3日間、整腸剤は1か月間以上服用しないようにお伝えしましょう。 又、高齢者や小児は3日経っても治らなかったり、脱水が酷い場合は受診を勧めましょう。
次に下痢の種類と原因から適した成分についてまとめましょう。但し医療機関で治療中の疾患や使用中の薬剤のない人に限ります。
1. 運動亢進性下痢
精神的ストレスや寝冷え、暴飲暴食が原因で自律神経のバランスが崩れると運動亢進性下痢が起こります。この場合副交感神経遮断剤(ロートエキス)腸液分泌抑制剤(塩酸ロペラミド)を用います。
2. 腹部膨満感を伴う下痢
腹部膨満感を伴う下痢・軟便の場合は消泡成分(ジメチルポリシロキサン)や整腸生菌成分(酪酸菌、宮入菌、乳酸菌等)を含む製品で腸内腐敗菌を抑制しおなかの張りを改善します。プランタゴ・オバタ種子の食物繊維を多く含む製剤は水分を吸収して便の量を増やし便の性状を正常に戻すことで知られています。
3. 分泌性(滲出性)下痢
夏に起きやすい細菌性下痢は炎症により腸粘膜から水分が異常に分泌され、便の水分量が増えることで起きます。食あたり・水あたりとも呼ばれます。殺菌成分(クレオソート、塩化ベルべリン等)と吸着成分(天然ケイ酸アルミニウム、カオリン等)を用います。軽度の場合は乳酸菌配合製剤で、重症の場合は腸管運動抑制成分(ロートエキス、マレイン酸トリメブチン、塩酸ロペラミド)を使用します。

以下の下痢時のセルフケア(食事指導)をご参考に積極的なコミュニケーションを心がけましょう。

1発熱、腹痛を伴う場合の急性下痢症では脱水が生じないように水分を補給しながら、絶食により胃腸の安静を保つ。

2慢性的な下痢症では、繊維質が少なく、消化が良く、高カロリー・高蛋白質のものを摂る。

3温野菜・色のついた食べ物より白い食べ物を摂る。

4急性期の下痢は牛乳などを避ける。

5硬い食べ物より軟らかい食べ物。

6消化吸収の良い、脂肪成分の少ない食事にする。

7アルコール、カフェイン飲料、香辛料などは控える。

など積極的なコミュニケーションをもちながら、適切な製剤をお勧めするのが何よりと思われます。

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