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皮膚疾患にステロイドを勧めるときの3つの注意点

ステロイドは炎症を抑えな効果によってさまざまな症状に対して処方されます。炎症といっても打撲などの外傷だけでなく、体内の一種のアレルギー作用によって起こるアトピー性皮膚炎や湿疹、蕁麻疹、虫刺されや乾癬にも使用されます。炎症は痛みや腫れ、痒みを伴うためその症状の緩和として用いられることも多いのです。ただ、作用が強力なため、過剰に使用しすぎることによる弊害には気をつけなければいけません。今回の記事ではステロイドの作用と、使用する際の注意点を解説していきます。

ステロイド外用薬の効果

ステロイドの作用は大きく分けて以下の2つです。

抗炎症作用

ステロイドの作用のひとつは『抗炎症作用』です。

炎症の4大徴候である『発赤』『腫脹』『発熱』『疼痛』を抑え、打撲や捻挫による不快感や関節可動域の制限を解消します。

患部の痛みを抑えたいとき、炎症部位が腫れて関節可動域が狭くなっているときにも使用されます。

免疫抑制・抗アレルギー作用

ステロイドのもう一つの作用は『免疫抑制・抗アレルギー作用』です。

大きく分類するとこれも1種の炎症なのですが、免疫抑制・抗アレルギー作用は体内に異物と認識されるものが侵入・発生したときの免疫系の過剰反応によって起こります。

虫さされの時の腫れや痒み、湿疹による炎症を抑えるためにも使用されます。

強さによる分類

ステロイド外用薬は抗炎症作用の強さによって5段階に分類されます。

強い順にストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム(マイルド)、ウィークと分類されます。

ステロイドは塗布する部位によって成分の吸収率が異なるため、同じステロイドだからといって強さの違う薬剤を塗布すると、塗布する部位や使用する量を変えなくても副作用のリスクが高くなってしまいます。

患者さんが複数のステロイドを所持している場合は自己判断で薬剤を変えないようアドバイスができると良いでしょう。

ステロイド外用薬を使用する場合の注意点

長期的に使用しない

ステロイド外用剤のイメージから副作用を心配するあまり、塗布する量を少なくしてしまう患者さんがいらっしゃいます。

ステロイドの副作用は長期的に使用をした場合に起こりやすく、適切な量を使用しないと患部が良くなるまでに時間がかかり、結果的にステロイドを使用する期間が長くなってしまうことがあります。

『適切な量を適切な範囲に』使用することが副作用を抑える上でも重要だと説明することが大切です。

過剰に塗り広げすぎない

上の説明とも重複する部分がありますが、副作用を抑える為にも必要以上に薬剤を塗り広げすぎないことが大切です。

効果を期待できる適正量を塗り広げ過ぎると、部位あたりの使用量が少なくなり、十分な効果が得られないばかりか、副作用のリスクまでも上げてしまうのです。

感染性の疾患には注意

ステロイドが炎症を抑えるとはいっても使用が適さないケースもあります。

例えば皮膚結核、単純疱疹、水痘、帯状疱疹、種痘疹といったウイルスが原因となっている疾患にステロイド外用薬を投与すると症状が悪化することがあり禁忌の処方となっています。

ステロイド製剤は免疫抑制作用によって異物に対する体内の過剰反応を抑え、炎症を和らげる作用を持っています。

その為、原因菌を野放しにしたまま免疫を抑制することになる為、一時的に炎症が治った後に悪化する場合があるのです。

見た目だけで原因菌を特定するのは難しい為、症状の経過によって皮膚科を受診することをオススメするようにすると良いでしょう。

いかがでしたか?ステロイドはその効果の高さゆえ、乱用されやすく、また逆に過剰に敬遠されやすくもある薬です。正しい知識をもって患者さんの薬の適正使用・健康を守れる登録販売者を目指してインプット、現場でのアドバイスをしていきましょう!

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