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登録販売者ドタバタ劇場

意外と難しい風邪薬の選び方

突然お店に入ってこられて「しんどいから風邪薬をちょうだい」とお客様から言われることは、薬を販売する立場の人ならよく経験することだと思います。お客様の辛そうな表情を見ると、問診もそこそこに総合感冒薬を勧めたい衝動にかられることもあるかもしれません。しかし焦って薬を勧めることは、お客様の不利益や健康被害につながってしまうこともありますから注意が必要です。今回はそれぞれの風邪の症状に適した風邪薬を選ぶポイントを見ていきましょう。

お客様の風邪の症状は何か?

風邪は一般的には急性の上気道炎のことを指します。

風邪は約8〜9割がウイルスによるものであり、病院で処方される細菌に効果のある抗生物質は無効であることがほとんどです。

ですから風邪で使う風邪薬は基本的に対症療法の薬(根本治療ではなく出ている症状を緩和するための薬)となります。

そのため風邪のお客様に出ている症状がどんなものなのかを丁寧に聞き出す必要があります。

風邪の症状は、発熱・頭痛・関節痛・鼻水・咳・痰など多岐に渡ります。

例えば風邪の症状が発熱と頭痛の症状だけの人に、鼻水や咳の成分も含む総合感冒薬を勧めると本来飲む必要の無い成分によって副作用のリスクだけが高くなってしまいます。

この場合は発熱と頭痛に効果のある解熱鎮痛剤だけを含む薬を選ぶのが適しています。

お客様の持病や薬の服用歴もしっかりと確認を!

お客様の風邪の症状が分かったからといってまだ安心はできません。

なかにはほかに持病があったり、病院から処方された薬を服用中の人もいるからです。

例えば緑内障や排尿障害がある方には鼻水などを抑える成分である抗ヒスタミン薬は使用できない場合があります。

抗ヒスタミン薬には抗コリン作用があり、これが緑内障や排尿障害を悪化させる可能性があるためです。

また胃潰瘍などの消化性潰瘍を治療中の人は、ほとんどの解熱鎮痛剤を使用することができません。

これは解熱鎮痛剤の成分が消化性潰瘍を悪化させてしまうためです。

このような情報は医薬品の添付文書に記載されているため、お客様に勧める可能性のある薬の添付文書は逐一把握しておくことが重要です。

またお客様の服用中の薬を確認することも風邪薬を選ぶうえで大切なファクターです。

薬の相互作用を確かめるのはもちろんのこと、薬の成分が重複している場合もあるからです。

花粉症で抗ヒスタミン薬を服用している人に抗ヒスタミン成分を含む風邪薬は不要ですし、腰痛症や肩関節症で痛み止めを飲んでいる人は風邪薬の解熱鎮痛成分が重複してしまいます。

このように薬の成分が重複してしまうと、副作用のリスクだけが高くなってしまい、お客様にとっては不利益だけが生じてしまいます。

薬を販売する際は、お薬手帳を確認させてもらうなどお客様の薬の服用歴にも注意を払うようにしましょう。

お客様の生活環境にも注目

お客様によっては仕事などで頻繁に車を運転する人もいますから、抗ヒスタミン薬のように副作用で眠気を生じるような成分は避けた方がよいこともあります。

眠気の副作用をもつ薬を販売する場合は、必ず車の運転の有無を確認するようにしましょう。

また高齢者や普段自転車に乗る人の場合なども、抗ヒスタミン薬には副作用の眠気によってめまいやふらつきなどを生じ転倒のリスクが高まることは必ず説明してあげましょう。

以上のように風邪薬といっても、本当にその人に適した風邪薬はなかなか見つけ出すのが難しいものです。

まずはお客様としっかりとコミュニーケーションを取り、お客様の情報を聞き出すことを心掛けましょう。また普段からお客様との会話のフローチャートを作っておき、これに即して情報を聞き出すようにすれば情報の聞き漏らしも減り、より効率的に風邪のお客様に適した風邪薬を見つけられるようになります。これらのことを踏まえてお客様に適した風邪薬を一緒に見つけ出してあげましょう。

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