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その薬疹は頭痛薬が原因?アリルイソプロピルアセチル尿素の副作用

OTC医薬品の中には思わぬ副作用を起こすものがあるため、薬を販売する際には細心の注意を払う必要があります。解熱鎮痛薬に配合されることのあるアリルイソプロピルアセチル尿素もその一つであり、薬疹などの副作用を起こす可能性があることが知られています。今回はこのアリルイソプロピルアセチル尿素の注意すべき副作用について解説したいと思います。

アリルイソプロピルアセチル尿素はどんな成分?

アリルイソプロピルアセチル尿素はウレイド系と呼ばれる分類に属する催眠・鎮静成分です。OTC医薬品に含まれるアリルイソプロピルアセチル尿素は主に鎮静作用を目的として複数の痛み止めに配合されています。

アリルイソプロピルアセチル尿素は眠気を引き起こすことがあるため、車を運転したり危険な作業に従事する人などは服用できないと定められています。また、大量投与すると中枢神経が抑制されて昏睡状態に陥り、死亡する危険性もあります。

ちなみに、アリルイソプロピルアセチル尿素とブロムワレリル尿素の合剤である「ウット」と呼ばれる睡眠薬は過去に自殺に用いられて社会問題になったこともあり、今は発売が禁止されています。

こうした経緯もあり、今日ではプロピルアセチル尿素単体の商品は発売されていませんが、一部の解熱・鎮痛剤には配合されているため、その副作用には注意が必要となります。

アリルイソプロピルアセチル尿素による副作用

アリルイソプロピルアセチル尿素の主な副作用としては以下のようなものがあります。

  • 眼瞼、口、身体にできる赤い薬疹
  • 眠気
  • めまい、ふらつき

この中でも注目すべき副作用は薬疹です。あまり知られていないことですが、アリルイソプロピルアセチル尿素による薬疹の出現率は高く、その頻度は抗生物質と同程度であるとも言われています。

しかし、一般に薬剤師などの薬の専門家でさえもその事実を知っている人が少ないため、突然現れた薬疹の原因がアリルイソプロピルアセチル尿素であることが見過ごされることも多くあります。

この記事を読んだ登録販売者の皆さんはこの事実を頭の片隅に入れておき、万一お客様から「痛み止めを飲んだ後、原因不明の湿疹ができた」などの訴えがあった場合は、成分にアリルイソプロピルアセチル尿素が含まれていないかどうかを確認するようにしましょう。

また、薬疹以外にも眠気、めまい、ふらつきなどを起こす可能性があります。服用後には車の運転や危険を伴う機械の操作を避ける必要があることも併せて覚えておきましょう。風邪薬や鼻炎薬を飲むと眠気が出ることは良く知られていますが、一部の痛み止めにもこうした作用があることを知らないお客様は意外と多くいらっしゃいます。

アリルイソプロピルアセチル尿素を含むOTC医薬品には何がある?

アリルイソプロピルアセチル尿素は解熱鎮痛剤(NSAIDS)の働きをサポートする補助成分として多くの市販の解熱鎮痛剤に含まれています。代表的なものとして以下に挙げる商品がありますので、ご自身の勤めるドラッグストアで取り扱っている商品がある場合は、覚えておくと良いでしょう。

 

  • 「セデス®・ハイ」
  • 「新セデス錠」
  • 「セデス・キュア」
  • イブクイック頭痛薬DX
  • 「イブA錠」
  • 「バファリンプレミアム」
  • 「バファリンプラスS」
  • 「ノーシンピュア」
  • 「メリドンEV錠」
  • 「アダムA錠」
今回ご紹介した薬のように、OTC医薬品には時として思いがけない副作用を引き起こすものがあります。登録販売者の皆さんは、たかが市販薬と侮ることなく、販売に際しては細心の注意を払うことが大切になります。副作用歴や併用薬など、服用されるお客さんの背景をきちんと確認し、万一の副作用に備えて適切な注意喚起をしてあげることが大切になりますね。

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