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登録販売者ドタバタ劇場

その薬の使い方、誤解していませんか?

妊娠中の薬の使用可否とともに、授乳中のお母さんも、薬の使用について心配される方が多いのではないでしょうか? 母乳は体から分泌されるわけですから、薬を飲めば、母乳中にも成分が入り込んで赤ちゃんに悪影響を与えるのでは?と考えられても不思議ではありません。

授乳中は薬を飲んではいけない?

一般的な育児書などには、「授乳中に薬を飲むと、多くの薬の成分は母乳を通して赤ちゃんに移る。赤ちゃんへの影響はそれほどではないが、肝臓や腎臓の機能が未発達なため、薬の成分が体内に蓄積されやすい」などと書かれています。

これはどのような意味でしょうか? 赤ちゃんには影響しないが、薬の成分が赤ちゃんに蓄積される。それでは、薬を飲んでもいいのでしょうか?それともダメなのでしょうか?

育児書の「薬の成分が蓄積される」は正しいのですが、赤ちゃんに害を及ぼす薬は、抗がん剤、片頭痛の薬など一部の薬と言われています。授乳中のこれらの服用は、避けた方がいいでしょう。

実際には、子どもに用いられる種類の薬であれば、仮に母乳から出て赤ちゃんの口から少量入ったとしても、まず問題はありません。

どうしても薬が母乳から出る可能性が心配な場合は、薬を飲む期間だけ母乳からミルクに切り替える方法もあります。また、夜中に赤ちゃんが母乳を飲まないのであれば、就寝前に1回分の薬を内服してもよいでしょう。

新型絆創膏は傷がきれいに治る?

ちょっとしたすり傷や切り傷を作った時、あなたはどうしていますか?
昔は、赤チン(マークロクロム液)を塗って、それでおしまい、といったところでしょうが、最近は塩化ベンゼトニウムなどの消毒液で消毒し、ガーゼつきの絆創膏などで保護する方が多いようです。

しかし、これはもはや時代遅れの治療法。いまは、傷についた細菌を落とすために流水で十分に洗い、その後ラップフィルムなどを貼り付けたり、くるんだりしておくだけで、消毒の必要はないと考えられています。

また、傷をなるべく乾燥させて、かさぶたを作ったほうが治りは早いと信じられていましたが、それも間違いです。傷は乾燥させないほうが、早くきれいに治ると確認されています。なぜ、消毒したり、乾燥させる必要がないのでしょうか?

じつは刺激性の強い消毒液は、傷についた細菌より先に皮膚の細胞を殺してしまいます。消毒をすると傷がシミたり、痛んだりするのは正常な細胞がダメージを受けているからです。

また、傷がジュクジュクするのは、体の免疫が細菌と戦っている証拠。それを無理やり消毒し、乾燥させる必要はありません。患者さんには理解しがたい処置かもしれませんが、このほうが消毒をするより確実に、傷は早くきれいに治ります。

使用説明書には、数日間の連続使用が可能と書かれていますが、毎日張り替えた方が良いでしょう。

また、貼り替える時は傷口を流水で洗い、常に清潔を保つようにしましょう。痛みがあるようなら、市販のワセリンを塗れば効果的です。傷薬を塗る必要はありません。

妊娠中や、授乳中のお母さんは誰でも、体調に変化が起こりやすいもの。それを、「薬は危険。胎児や乳児に影響与えるから飲んではいけない」と頭ごなしに言うのは、ただ、がまんしなさいと言っているのと同じです。 飲める薬もあるし、飲むための対応策もある、こういったアドバイスをするのが専門家(薬剤師、登録販売者)の責務だと思います。 創傷に関しては、最近は傷を無理に乾燥させないという考えを取り入れた「フィルム状の新型絆創膏」が市販されており、おすすめです。

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