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現場で役立つ季節の健康ネタ

アメリカで全面禁止になるようです。日本では?~トランス脂肪酸~

昔「バターは身体に悪いからマーガリンを食べましょう」と言われていました。最近は立場が逆転してしまったようです。マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸が、アメリカで全面使用禁止になることになりました。

トランス脂肪酸とは?

●米、トランス脂肪酸の食品添加禁止 18年6月から(日本経済新聞)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HQH_X10C15A6000000/

以前より、ニューヨーク州やカリフォルニア州では飲食サービス業者に対して人工的なトランス脂肪酸の販売や使用が禁止されていましたが、その措置が全米に広がることになります。

さて、「狂った油」とまで呼ばれ、米食品医薬品局(FDA)に「安全でない」とされたトランス脂肪酸とはどんな油なのでしょうか?

農林水産省の内容によると…

●すぐにわかるトランス脂肪酸(農林水産省)

http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/

●トランス脂肪酸の摂取と健康への影響(農林水産省)

http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/trans_eikyou.html

「常温で液体の植物油や魚油のから半固体又は固体の油脂を製造する加工技術の一つである「水素添加」によってトランス脂肪酸が生成する場合があります。

水素添加によって製造されるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などにトランス脂肪酸が含まれています。(農林水産省HPより引用)」

「トランス脂肪酸については、飽和脂肪酸(ミリスチン酸及びパルミチン酸)、塩分のとりすぎ、過体重、アルコールのとりすぎとともに、心血管疾患(CVD)、特に冠動脈性心疾患(CHD)のリスクを高める確実な証拠があるとされています。(農林水産省HPより引用)」

上記の説明を見ていると、とても身体に悪そうですね。
この説明やアメリカの反応だけ見ていると、なぜ日本はトランス脂肪酸に対してなにも規制せず、含有量の表示義務もないのかと思いますが、これに関しては、実際には日本人のトランス脂肪酸摂取量が少なく、欧米人に比べて健康問題として影響が出る可能性が低いからだと説明されています。

トランス脂肪酸だけが悪くない!?

トランス脂肪酸の調査結果や評価に関しては、まだはっきりとした結論が出ておらず、トランス脂肪酸そのものには心疾患に及ぼす顕著な影響はなく、本当に悪影響を及ぼしているのは「水素添加により副生するジヒドロ型ビタミンK1」であるとも言われています。

●トランス脂肪酸 (水素添加植物油) の何が悪いのか(日本脂質栄養学会)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/16/1/16_1_49/_article/-char/ja/

結局のところ、上記のような説もあることから、単純にトランス脂肪酸だけを排除するだけでは安心できないのかもしれません。

さまざまな脂肪酸に関しては、今世界的に評価が変わってきています。動物性脂肪は、過去まったくの悪者でしたが、最近では植物性よりも安全だとする意見も多いのです。

食生活、食べ物については、いろいろな意見もありますし、各個人で選ぶ基準も嗜好もあまりにも違うので見解を統一することは難しいと思うのですが、せめて「日本人は食べる量が少ないからなにもしなくてOK!」ではなく、問題があるとされる成分に関しては含有量の表示くらいは義務付けていただけると、各個人が自分で食べる食べないを判断できるのでいいのではないでしょうか?

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